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根っこの成長

2010年6月
環境から生まれるつながり

2010-6.jpg先日、本園で10年以上生活を共にしたウサギの「みみちゃん」が亡くなりました。年少組、年中組の子どもたちの降園後に亡くなってしまったため年長組の子どもたちとみみちゃんを見送りました。花を摘み、みみちゃんのかたわらに添えてあげました。そして、ありがとうの気持ちを込めた歌を歌い、お祈りをし、お墓へ埋めてあげました。
 
突然の死に悲しくなり涙をこぼす子ども、うまく状況を理解できない子ども。子どもたちがそれぞれ異なった気持ちを抱いてみみちゃんの死と向き合っているように見えました。なかなか、涙が止まらず大きな声で泣く子どもに教師が「みみちゃんも、みんなが泣いていたら悲しいと思うよ。みんなの気持ちは届いているから大丈夫。元気を出していこう」と声をかけましたが一向に涙が止まることはありませんでした。

その後、みみちゃんのお墓には卒園生の子どもたち、保護者の方々も訪れ、お花をたむけてくださいました。長い間、何百人という子どもの中にいたウサギのみみちゃん。そんなウサギと子どもたちとのつながりについてご紹介させていただきます。
子どもたちは年長組になるとウサギのお世話を自分たちで行います。ケージを掃除し、餌をあげて水を取り替えてあげます。年長になってから急にお世話を始めるのではなく前年度から準備をしています。年中組の3学期に前年度の年長組の子どもからお世話について引き継ぎを受けます。
 「まず、ウサギを家から出してあげて。」
 「餌と水の器を洗って。」
 「ウンチを新聞にくるんでから捨てるんだよ。」
 「時々、みみちゃんは噛むから気をつけて」
など、およそ1年間お世話を経験した年長組の子どもたちからポイントを教えてもらいます。

そして新年度を迎えます。慣れない手つきで子どもたち同士で手順を確認しながら、ああでもない、こうでもないと試行錯誤をしながらお世話を行っていきます。最初はひとつの作業に何人もが集まっていましたが、次第に役割分担をし少しずつですがお世話のコツを掴んでいるようでした。そのような中で、みみちゃんがいなくなってしまいました。子どもたちからは「ウサギのお世話はどうするの?」という声が早速あがりはじめました。そこで1つの意見として幼稚園にもう1匹いるウサギ「のんのん」のお世話を年長組2クラスで交代でしたらどうか?という声が上がりました。今のところ、そのような方向でお世話をしていこうと考えています。

入園して間もない年少さんはウサギを見かけると「ウサギだ!」「何を食べるの?」「何でお家の中に入ってるの?」と気になって仕方が無い様子です。時として悪戯をしてしまったり、無茶な抱っこの仕方をしてしまったりということもありますが、かわいいもの、珍しいものとして、幼稚園の中にいるウサギを見ています。実はこのように入園当初から子どもとウサギとの関わりがあるのです。そんな年少さんに年長組の子どもたちは声をかけてくれます。「みみちゃんっていうんだよ」「時々、噛むから指を入れたらだめだよ。」「餌は勝手にあげたらだめだよ」どこかで聞いたことのある言葉やものの言い方、前年度の年長さんの姿がちらっと見え隠れしているような気がしました。うさぎを通じて、子ども同士もつながり、教えること、教わることが引き継がれていくのだと感じました。

とても暖かくなってきました。これから幼稚園にはテントウムシや幼虫をはじめとしたたくさんの生き物がやってきます。子どもたちが生き物と接する機会が増えてきます。そのような中でどんなことを感じ、どんな言葉を発し、ともに過ごしていくのか見守っていけたらと思っています。

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