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根っこの成長

2011年9月
響きあう仲間たち〜お泊り保育編〜

幼稚園の中では頼れる一番お兄さんお姉さんの年長組。それでも、やはりまだまだ初めてのことがたくさんあります。その初めての1つが、お泊まり保育ではないでしょうか。1日家族と離れて、幼稚園で過ごす。登園してきた子どもたちは、楽しみいっぱいの興奮と1人でお泊まりできる誇らしげな表情とお母さんと離れる不安げな表情が入り混じっていました。

登園してまず行うのが、夕飯作りです。子どもたちが食べたいものからメニューを考えました。今年は、グラタン、からあげ、しょうがやき、サラダ、コロッケ、スパゲッティ...と、子どもたちの大好きなものが並びます。それを、全部子どもたちの手で作っていきます。
揚げ物などの作業は、こっそりお母さん方の力をお借りしながら。それでも、ほとんどの作業は子どもたちです。たくさんの料理をグループに分かれて作るので、せっせとじゃがいもをつぶし、まるめてコロッケを作ったり、自分たちでフライパンを持って、しょうがやきを焼いたりと、子どもたちなりに大忙しです。「あちっ!」ちょっとフライパンのふちに手が当たってしまった子も泣くのではなく、「大丈夫だよ。できるよ。」と、痛い手を冷やしながら言います。その時の表情も、やはり少しの不安と自分たちが作っているという誇らしさが感じられました。
そうして、みんなで作ったさまざまな料理をみんなで創りあげた水族館となっている幼稚園ホールでいただきます。たくさんの魚たちのいる青い海の世界の中で、大好きな水族館の歌を歌いました。それから、自分たちの作ったごはんをお皿いっぱいにして、大好きな友達と食べる夕飯は格別だったのではないでしょうか。子どもたちも満足げな表情でした。

その後、花火などを楽しんで、支度をして、いよいよ寝る時間です。興奮冷めやらぬ子どもたちは眠れないのかソワソワ。そうして、落ち着いたところで、ふと思い出すのでしょう。涙の出始める子どもたちもいます。泣いている子がいると、何人かの子がやってきます。その時の子どもたちのやりとりを見ていると、こんな声が聞こえました。

 「大丈夫?」「どうしたの?」
 「・・・・・。」
 「少しさびしくなっちゃったんだって。」
 (頭をそっとなでながら、)「大丈夫だよ。みんながいるよ。」
 「うん。」

きっとそれぞれ心のどこかに寂しい気持ちがあるのに、そっと優しさを与えられる子どもたちです。もしかしたら、その寂しさが分かるからこその姿なのかもしれません。そうして、夜を越え、スイカ割りやゲームなど楽しい時を過ごして、長い1日を終えた年長組の子どもたちは一回り大きく見えました。
「ほら、ちゃんと準備できてるよ。」「先生!自分でできたよ。」そんな子どもたちの誇らしげな声を何度となく聞かせてくれました。なんだかいっそう大きく見えた年長組の子どもたち。そんな子どもたちもお迎えに来たお母さん方に会った時は、うれしさでほっとした顔とやっと気が抜けたような疲れた顔を見せていました。
頑張ったね。年長さん。子どもたちにとって、自信と思い出を残すお泊まり保育となり、その1日には、子どもたち同士の優しい響き合いがいっぱいつまっていました。

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