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根っこの成長

2011年5月
響きあう仲間たち〜入園編〜

静かだった園庭に、また子どもたちの声が帰ってきました。

「先生、おはよう!」「今日から○○くみだよ!!」「こんなお花咲いてたよ。」

はずんだ声が至るところで響いています。春休みの間に、また少し大きくなって、久しぶりの幼稚園に大はしゃぎです。新しいお部屋を探している子、さくらの花をお土産に登園してくる子。久しぶりに会う友達とお話をしながら、笑顔いっぱいで園庭に駆け出しました。けれども、うかない表情の子どもたちもいます。
特に、年中組の子どもたちは、初めてのクラス替えです。お部屋も、先生も、友達も新しくなります。お母さんのかげに隠れて、登園してくる子がいました。緊張で表情がかたくなっていたり、涙を目にいっぱいためていたり。そんな子がいると、そこには自然に子どもたちも大人たちも集まります。
「○○ちゃん、今日はどろんこ遊びしようよ!」「大丈夫だよ」「○○ちゃんに一緒に遊ぼ!って言ってみたら?」
子どもたちも、お見送りのお母さん方も、いろんなクラスの先生も、その子に声をかけていきます。そんな言葉に励まされ、少しずつトボトボと一緒に遊び始めました。そして、帰る頃。

「今日はどろんこ遊びしてたね。何を作っていたの?」
「チョコレート・・・」
「先生も食べたいなぁ。」
「え〜?・・・・・いいよ・・・」

どちらも恥ずかしそうに下を向いたままでしたが、表情は笑顔になっていました。

その2日後、入園式が行われました。
こちらは、初めての幼稚園。緊張感は、どの子の表情からも感じられます。笑顔いっぱいというわけにはいきません。あまりの緊張に固まってしまう子、お母さんから離れられず、涙がとまらない子もいます。初めての集団生活です。社会という場に出ていく不安は、きっと大きな大きなものでしょう。あの園庭を走り回っている子どもたちも、入園式では、こんなに小さかったのでしょうか。そうしてみると、子どもたちの成長は著しく、頼もしいものです。
しかし、この小さな小さな子どもたちにも、ひびき合う仲間たちの第一歩がありました。保育者のハンカチで、泣いている子の涙をぬぐう子がいたのです。きっと自分も不安で仕方がないだろう、こんなに小さな子どもたちも相手を思いやる気持ちを表すことができるのです。そうした関わりが第一歩となって、仲間となっていくのかもしれません。
そして、先ほどのお母さんのかげに隠れて登園した子のように、たくさんの仲間に支えられ、励まされながら、大きくなっていくのだと思います。

こうして、子どもたちの毎日には、ひびき合いがたくさんあります。一人ひとりの持つキラキラした輝きがひびき合う時、1人では味わうことのできない、深さや幅が現れてきます。
これから、どんなひびき合いが幼稚園で繰り広げられるのでしょうか。早速、年少組では年長さんのお手伝いが、年中組では新入園の子への在園の子どもたちのお手伝いの姿が見られています。これからの新しい仲間とのひびき合いが楽しみでなりません。

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