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根っこの成長

2010年12月
環境から生まれるつながり〜焼き芋パーティー〜

1012-1.jpg11月4日に平和学園幼稚園では焼き芋パーティーが行われました。焼き芋パーティーの前にまず子どもたちは学年ごとにお芋掘りに行きます。そこで収穫したお芋を各家庭に持ち帰りますが、その持ち帰る分から1本のお芋を焼き芋用に取っておきます。例年のお芋掘りから焼き芋パーティーまでの流れです。しかし今年、年長組の畑では焼き芋用のお芋を用意できるほどの収穫ができませんでした。立派なつるが伸び、葉が茂っているのに掘っても掘ってもお芋は姿を見せてくれません。

「先生、全然ないよ」「細いお芋しかでてこない〜。」「おれは0個しか掘れなかった・・・」
1個見つけられればいいほう。そんな出来でした。畑から幼稚園へ帰るバスの中ではなぜお芋が取れなかったのか話し合いが行われました。

「夏がすごく暑かったからじゃない?」
「そういえば草むしりに行ってない。」
「お水もあげに行ってないよ。」
「お世話をしに行かなかったのがよくなかったのかな。」
「お芋パーティーができないかもしれない・・・。」

子どもたちは畑に対して自分たちがどの程度気持ちを寄せられていたかということを考えているようでした。小さいなりに責任を感じているそんな風に見えました。幼稚園に戻っておみやげ程度のお芋を分け合い家に持ち帰りました。
焼き芋パーティーはできないんだ・・・。そんな声が年長組の子どもたちの中から聞こえ始めてきました。

1012-2.jpgそして焼き芋パーティーを2日前に控えた11月2日。年長組、2クラスの部屋に年少組の子どもたちがやってきました。 
「一緒にお芋パーティーをしませんか?お芋わけてあげます」
少し時間をおいて年中組の子どもたちもやってきました。
「年長さんのお芋が少ししか取れなかったから、お芋を分けてあげるから一緒にお芋パーティーをしませんか?」

年少組・年中組の畑(年長組とは別の場所にあります。)では例年通りの量のお芋を収穫することができていました。そこで自分たちが焼き芋用に取っておいたお芋を半分にして分けてくれるというのです。年中組のクラスではこんな話が出たようです。
「年長さんは少ししか取れなかったからひとくちしか焼き芋を食べられないかもしれない。それはかわいそうだと思う。」
「年長さんは最後のお芋パーティーだから私たちのお芋を分けてあげたら?」
「僕達のを半分分けてあげようよ。」
「みんなの分が半分になってもいいの?」教師が全体に問いかけました。
「いいよ。」

このようなやり取りが行われ年中組の子どもたちは年長組の部屋に来てくれたのです。日頃、年長組の子どもたちが年中や年少の子どもたちに思いを寄せた生活を過ごしているからでしょうか。小さな子どもたちが一生懸命年長組のことを考えてくれました。このつながりが子どもたちが成長していくために必要なことなのだと改めて思いました。当日は焼き上がったお芋をどの子どもたちも本当に美味しそうに食べている姿がありました。年少組から年長組までそれぞれの子どもたちが自分たちなりに考える機会を与えられました。それは子どもたちだけではなく私たち教師もそうでした。ただただ、行事としてのお芋堀りや焼き芋パーティーを行うのではなく、そこの背後にある願いや思いを考えるそのような機会をいただくことができました。

1012-3.jpgお芋パーティーが終わり、焚き火の片づけをしている時でした。年少組の子どもたちが私のそばにやってきました。
「今日はお芋を焼いてくれてありがとう。」
小さな手の上に小さなおにぎりがのっていました。焼き芋パーティーの日に年少組の子どもたちが作ったおにぎりです。それを、お芋を焼いたお礼にと私にくれました。子どもにはかなわないな、そう感じさせられました。私たち大人なら口には出さなくともお芋を分けてあげたというところで見返りや何か言葉を期待してしまうかもしれません。どんな時にでも素直に"ありがとう"と言える子どもたちは大人の手本であると思いました。平和学園幼稚園の子どもたちの力を感じさせられたお芋掘りから焼き芋パーティーまでの出来事でした。

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