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根っこの成長

2014年5月
バスの中の子どもたち

「根っこの成長」は長い間お休みを頂いていました。2014年度はテーマを「子どもと自立」として毎月更新致します。ぜひお読み頂ければ幸いです。

 

 新しい年度を迎え一ヶ月がたちました。3月から4月にかけて子どもたちを取り巻く環境が大きく変わります。そしてその変化の中で一ヶ月を過ごします。その一ヶ月の様子を自立(自律)という観点を絡めてお知らせ致します。

 幼稚園の一日は朝の9:00から始まります。子どもたちが登園を始めると所々に自立(自律)の芽が顔を出します。バスでの姿を例に出して自立(自律)をご紹介します。

 

527236-1.jpgのサムネイル画像バスの中では、バスでの子どもたちの関係が育まれます。小さな年少組さんとバス停でバスを待つ年中組・年長組お兄さん・お姉さんは恐らく緊張と誇りを胸にバスを待っています。「小さな友だちのお手伝いをするんだ!」「お手伝いをどうやってすればいいんだろう」「おにいさん(おねえさん)になったぞ!!」などなど、子どもたちの胸の中には様々な思いが溢れているでしょう。

バスに乗る年中組・年長組の子どもたちは、お兄さん・お姉さんになった喜びをお手伝いという形で表わします。例えば、隣に座り支えてもらうこと、座りたい場所を我慢すること、小さなお友だちに押されてしまうこと、バスの乗り方を教えてあげることもあります。それは、自分が、自分がという時期から、「ちいさなお友達が・・・」とか、「ここに座りたいんだけど・・・」という自分の想いとの葛藤の時へ成長する大きな一歩です。お兄さん、お姉さんとは子どもにとってはとても大きなことなのです。

小さな子を支えるお手伝いは、ある子どもにとっては誇らしげに、ある子は憂鬱な顔を浮かべながらこの成長を受け入れていきます。段々と馴染んでやる気に満ち溢れる子も、段々と疲れが見えてくる子もいます。子どもたちの感じ方、意気込みは各々違うのです。

しかしここに自律の芽が隠れています。お兄さん・お姉さんになることは、自分より小さな友だちがいるからこそ自覚が芽生え、少しの我慢をすることを覚え、知っていることを教えるということなどを子どもたちは経験できるのです。

バスの中でこんな一コマがありました。ある年長組の女の子がバスに乗ると、座らずにずっと立っていました。私は「早く座ってね」と言いました。言ってしまったのです。ですがその場にはどこに座るか迷っている年少組の女の子もいたのです。つまり年長組の子は、自分のことよりも迷っている小さな子に寄り添って考えることができたのです。私にはできなかったことを年長組のお姉さんは自ら行っていたのです。

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ここで年長組のお手伝いのことから少し自律について考えてみましょう。先生がやりなさい!と言ったから手伝いをするのか、子どもが自分たちですると決めてお手伝いをするのかでは、どちらの自律度が高いのでしょうか。

またお手伝いをするのに少し疲れた子どもに、年長さんだからお手伝いをして下さい!と言う方法と、疲れてしまった子どもがみんなに相談して解決していく方法ではどちらの自律度が高いのでしょうか。

こういった選択は園生活の中で山ほど出てきます。平和学園幼稚園の教師は、どの方法が子どもたちの成長につながるのかを考え、自立・自律するためにどのような経験を積み重ねてもらうのかを判断します。そのチャンスを奪ってしまうのも大人次第です。

 この4月だからこそ、その始まりを大切にすることができます。この時期だからこそできること、この時期にしかできないことです。

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