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れんらく帳

2023年6月28日

沖縄修学旅行 2日目 

2日目は平和学園小学校の平和学習の核とも言えるプログラムが詰まっていました。

ホテルを出発し、まず最初に向かったのは平和祈念公園でした。

現地へ向かう途中、バスガイドの佐久本さんは南部激戦地の様子を、昨日のひめゆりの塔見学の話も交えながら、今日の見学内容につながるよう関連づけて話してくださいました。

平和の礎(いしじ)では、まず最初に2023年度新たに名前が刻まれた戦没者碑の前に案内してくださいました。子どもたちは未だに過去の悲劇が終わっていないことを実感している様子でした。

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見渡す限り、多くの戦没者の名前が刻まれた碑を目にしながら、平和の礎の中心部へと向かいました。

ここには、沖縄を中心に世界へと平和の波が広がるように...とデザインされた「平和の火」が灯され続けています。そのことを知った6年生たちは、「平和の火」に流れる水の水面をじっと見つめていました。

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資料館では、沖縄戦の現実だけでなく、日本がどのように第二次世界大戦と向き合ってきたか、国民に対してどのように知らせ、また教育によって戦争へ意識を向かわせていったのか、について詳しく展示されていました。

さらに戦後の米国統治下の沖縄がたどった、日本返還への道のりも詳しく紹介されていました。

証言や沖縄戦に巻き込まれた住民たちの写真が展示されている次のブースには、壁一面にこのような言葉が書かれていました。

沖縄戦の実装にふれるたびに 戦争というものは これほど残忍で これほど汚辱にまみれたものはないと思うのです

このなまなましい体験の前では いかなる人も 戦争を肯定し美化することはできないはずです 

戦争をおこすのは たしかに 人間です しかし それ以上に 戦争を許さない努力のできるのも 私たち 人間 ではないでしょうか

戦争このかた 私たちは あらゆる戦争を憎み 平和な島を建設せねば と思いつづけてきました

これが あまりにも大きすぎた代償を払って得た ゆずることのできない 私たちの信条なのです

6年生たちは、上映される映像資料、実物資料、証言、レプリカなどを一つひとつ丁寧に見て、感じて、受け止めました。

次に向かったのは山城本部壕。

「沖縄陸軍病院之塔」の前で、連合国軍の上陸により追い詰められた人々は沖縄県南部に逃れ、ガマ(天然の鍾乳洞を防空壕がわりにしたもの)に身をひそめながらどのように生きていたのか、という話を平和ガイドの方に伺いました。

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その後、ガマの中に入っていきます。

このガマは、付近の住民の防空壕となっていましたが、日本陸軍がその人たちを追い出し、陸軍病院本部を置きました。ガマの中は暗く、ぬかるんだ地面には、当時軍の人たちが使っていた食器の欠片や雨水を集めるための一升瓶、ガラスの欠片が点在していました。

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「みんななら、このガマに何日いられる?」という問いかけに、6年生たちは「1時間で限界」「20分」などと素直な気持ちを伝えていました。

それもそのはず、ヘッドライトの明かりを消すと真っ暗。天井と地面は隆起した鍾乳石でバランスが悪くなっています。どのガマでもこのような状態で、病院としての役割を果たさなければならなかった事実を目の当たりにしたからこその返答だったのでしょう。

事前学習で習った「ガマ」の現実を感じ取り、当時に想いを馳せ、「もし、自分だったら...」と考える時間となりました。

山城本部を後にし、次に向かったのは「おきなわワールド」です。

一番の目的は、エイサーを鑑賞すること!力強い太鼓の音、歌、音楽、コミカルなシーサーとおじいさん...琉球の文化を色濃く残す演舞を楽しみました。

午後は、普天間基地を見下ろす「嘉数高台(かかずたかだい)公園」に向かいました。

ここは「トーチカ」と呼ばれる、防御陣地が設置されています。白い箱のようなトーチカは、弾痕でたくさんのくぼみができていました。嘉数高台に登る階段の下には、同じように弾痕が刻まれた壁があります。これは、周辺の民家の壁を移築したものです。6年生たちは壁のくぼみに触りながら、銃弾の恐ろしさを知りました。

また、高台からは広く浦添市の街並みが見えます。その中心には、幅広い面積の米軍基地があります。肉眼ではっきりと確認できる近さで、オスプレイも見えました。民家との境が金網一枚で存在している現実...

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米軍基地のそばで生活している人たちが日々実感している騒音、事故への恐怖など具体的な話を伺う中で、「基地の存在と沖縄住民」の関係を肌で感じ取りました。

盛りだくさんな1日の最後には、名護市の大浦湾へ向かいました。遠浅の海は、エメラルドグリーンとサンゴ由来の白い砂浜のコントラストが美しさをより引き立たせていました。

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しかし、対岸には周囲10キロを囲むオレンジ色のブイと、大きな船が何隻も見えます。

これは、辺野古基地のV字型滑走路を建設するために、大浦湾を埋め立てているためです。

大浦湾の保全活動を進める「じゅごんの里」のスタッフの方に、今、大浦湾で起こっていることについて詳しくお話を伺いました。

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お話の後、浜辺の自然の観察をしました。

まず、子どもたちが夢中になっていたのは、ヤドカリ!!

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砂浜に顔を近づけてみると、至る所で色々な種類の貝を背負った、ヤドカリが見えます。子どもたちの指よりも小さいサイズから、こぶし大の大きなサイズのヤドカリ...あまりの可愛さに、「これ、うちの子。」と紹介してくれる6年生もいました。

大浦湾に生きる生物の多様性の一端を実感しつつ、たくさんの学びがあった2日目を終えました。