かめきちとジョニーの冒険
「かめきち」と「ジョニー」はかめの名前です。
かめきちは去年一年間幼稚園から預かり、すっかり小学校の人気者になりました。
しばらく里帰りしていましたが、小学校に戻ってきて(…と子どもたちは思っていますが実はまた別のカメなのです…)いました。ジョニーは2年生が教室で飼っているミドリガメです。この2匹のカメが先週の月曜日に行方不明になってしまいました。飼っている場所は別の場所なのに、申し合わせたように同じ日に失踪してしまいました。放課後、小学校と幼稚園の職員でグランド中を捜しまわりました。その日は休み時間にかめきちのたらいとジョニーの飼育ケースを一緒に洗いました。その時2匹はそばにいたので、一緒に脱走計画をたてたのではないか…と想像してしまいました。
次の日の放課後のことです。3年生の女の子たちがグレーニアホールの丸テーブルでポスターを作っていました。
『かめきちとジョニーをさがしています。いっしょにさがす人は、20分休みとお昼休みに朝れいだいにあつまってください。ごきょうりょくおねがいします。』
と書いてありました。ポスターは4枚。1階と2階に2枚ずつ貼られました。
子どもたちも教職員たちも皆、カメの命が守られて無事に戻ってくるようにと祈りました。
翌週・・・6時間目の体育の時間にО先生がうれしいニュースを届けてくれました。
かめきちが見つかったのです。なんと駐輪場の横にある池で発見されたのでした。グランドから池までカメの足では相当な距離があります。カメの歩みで大分時間をかけて水場までたどり着いたことでしょう。かめきちの冒険です。このうれしいニュースを受けて早速新しいポスターが作られました。
『かめきちがみつかりました。ようちえんにいたそうです。ジョニーもみつかるといいですね。』
と書いてありました。かめきちは大きなカメですが、ジョニーは小さなミドリガメです。はたして見つかるのか・・・かめきちの朗報で希望がみえたものの発見の手がかりはつかめません。
ところが、不思議なことにジョニーも次の日に発見されたのです。
火曜日の朝に2年教室の教壇の前をのんびりと歩いていたところを保護されました。どうやらジョニーは、2年教室の中で小さな冒険を楽しんでいたようです。こうしてかめきちとジョニーの一週間の冒険は無事に幕を閉じました。
小さな命の尊さを知ることができた一週間でした。
(3年学級便り『 空の鳥 』より)