ホーム > 平和学園からのお知らせ > アレセイアの輝き 155号

平和学園からのお知らせ

2018年10月 1日

アレセイアの輝き 155号

「賀川豊彦の関東大震災での働きから学ぶこと」

学園宗教主任 横山厚志

聖書「涙と共に種を蒔く人は、喜びの歌と共に刈り入れる。」詩編126編5節

 
 「1923年9月1日午前11時58分に起った関東大震災、相模湾一帯を震源とする巨大地震、死者・行方不明者は約10万5千人。建物全半壊・焼失は約37万棟。日本海側にあった台風の影響で強風が吹いて、東京・横浜などの市街地が大火災になった。隅田川近くにあった旧陸軍被服廠後の空き地では避難者の家財道具などが焼けて集まった約4万人のうち約3万8千人が亡くなった。」(2014.9.1朝日新聞夕刊より)
 日本では多くの自然災害があります。阪神淡路大震災、東日本大震災など、最近でも次々に起っています。1923年に起った関東大震災でも大きな被害がありました。この時に、私たちの学園の創立者の1人である賀川豊彦先生は、素早く行動して、素晴らしい活躍をしました。
 私は、以前に、戒能信生牧師(当時、東駒形教会)に、「賀川豊彦と関東大震災」という内容でお話を聞いたことがありました。
 関東大震災が起った時、賀川豊彦先生は神戸にいました。ラジオで震災の報道を聞き、すぐに行動に移すのです。9月3日に、神戸から山城丸という汽船に乗り、横浜に4日の朝に上陸します。上陸後、横浜から東京に徒歩で入って、被災の大きかった地域をずっと見て回りました。
 4日後に、一度神戸に戻り、自分が見て来た関東大震災の実情を関西の教会やいろいろな所で報告会を行い、救援に必要なお金や救援物資を集めました。
 賀川先生は若者3人を連れて、救援物資を満載した長崎丸に乗って、再度横浜に上陸したのが10月18日でした。そして19日には、最も被災の大きかった本所区松倉町に大きなテントを立てて、ここを救援本部にし、救援活動を開始しました。賀川先生は当初、救援活動も1年行い、神戸に帰るつもりでしたが、被災地の現状に触れて、救援活動を続けるために、住む場所を東京に変えました。被災地のニーズを1つ1つ受け止めて、必要なことを具体的に実施していきました。
  詩編の中で、「涙と共に種を蒔く人」は、とあります。賀川先生は、関東大震災が起って、すぐに被災地に入り、災害で苦しんでいる人の苦しみを、涙を、共に感じました。そして、いつの日か被災者が、喜びの歌を歌い、共に喜ぶ日が来ることを望んで、活動を続けました。
 私たちは賀川先生が創立した平和学園にあります。平和をつくると言うことはどのようなことでしょうか。まず、私たちは、涙と共に種を蒔く人になりたいと思うのです。
 
 
平和学園幼稚園
「運動会」

 例年より暑い夏休みを終え、子どもたちは真っ黒に日焼けをし、幼稚園に戻ってきました。年長組では、早速運動会に向けて動き始めました。「うんどうかい、やる?」「やりたくない」と始まった話し合い。「ころんだらいたいから、いやだ」「いたいから、ないちゃうかもしれない」とやりたくない数人の子どもたちに、どうしたらいいか、クラスの子どもたちが一緒になって考えます。いろんな意見の中の「ころんだだけ、つよくなるんだよ」といった女の子の言葉に驚かされました。やりたくなかった子どもたちも「うん、うん」と頷き、やってみようということになりました。今年もたくさんの競技のアイディア出ています。さて、どんな競技になるのでしょうか。。。お楽しみに!
 
 
平和学園小学校
「どうして私が前に出てきたのでしょう?」
 朝の礼拝を終え、報告事項を伝達する時間に教頭先生が子どもたちの前にやってきます。全校児童の数名の心が高まります。
 「9月ですね。どうして私が前に来たのでしょうか?」
 言わずもがな。子どもたちは、その理由を分かっています。教頭先生が前に出てきて「〇月ですね」とか「〇月も、もう半分すぎましたね」とお話しするときに何が行われるかということを。すかさず子どもたちから答えが返ってきます。「誕生日カードの日!」?そう、月に1度の誕生日カードの日です。担任の先生が、それぞれデザインしメッセージを書いています。子どもたちも、どんなカードがもらえるのか毎年楽しみにしているようです。もらったカードは聖書に挟まれていたり、おうちに大切に保管してあったりと様々です。時折、誕生月からだいぶたってから聖書から取り出して読んでいる子を見かけます。何年か前のカードを眺めている子もいます。一人ひとりの子どもにとって大切な誕生日カードになっています。
 

アレセイア湘南中学高等学校
「“わ”己いかして組いかせ」

 …というテーマで、文化祭が行われました。
 今年のテーマはタイトルに記した、「わ」。“和”“輪”“羽”など の想いがこめられていました。開会式で平和祭実行委員長が言った「前夜祭のリハーサルでは多くの想いがぶつかっている場面があった。そして、生徒一人一人が盛り上げようという気持ちを持ってくれているんだということを感じて嬉しかった。みんなの想いを合わせて二日間を作り上げていきたい」という言葉に、生徒たちが行事をつくりあげていく過程が隠れていたのだと思います。二日間、それぞれのクラスや部活の想い、創意工夫が光っていたのではないかな、と感じました。
 そして9/15の一般公開日では、雨天にもかかわらず、多くの方に来場していただきました。生徒だけでなく、来場していただいた方もあって平和祭となったことを実感します。キリスト教主義の学校として、ひとりひとりと繋がって喜びをつくりあげていくことを体感することができたのではないでしょうか。
“わたしたちの一つの体は多くの部分から成り立っていても、すべての部分が同じ働きをしていないように、わたしたちも数は多いが、キリストに結ばれて一つの体を形づくっており、各自は互いに部分なのです。”(ローマの信徒への手紙12章4、5節)
 
 なお、閉会式では「今年は体育祭があって、平和祭につなぐことができたと感じている。その中で多くのことを挑戦することができた。こうして繋がれたバトンを、引き継いでいってほしい」と、高校2年生以下にバトンが託されました。行事と行事を結んで、また次の世代へと“輪”が広がっていくことに期待したいと思います。