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根っこの成長

2023年6月30日

根っこの成長6月号「子どもたちが作っていくために必要な関わりって・・・」

登園して朝の支度を済ませ、園庭に集まってくる年長組の男の子達。クラスの枠を超えてのサッカーが始まります。

23人のところから6,7人と仲間が増えていき何となくチームに分かれ試合らしきものが始まります。

門に立ちながら見ていると、そこには子どもたちの世界と人間関係がいろいろと見られます。

ある朝、園庭の真ん中で円陣を組み話し合いが行われています。

どうやら今日こそは自分がチームを決めるとリードした子どもがきっかけで、ケンカになったようです。

そばで見ていた先生が「これではサッカーできないね。どうしたらいいか自分たちで考えて見たらどうかな?」とひと言。するとみんなで頭をくっつけあい話し合いがはじまりました。

とはいえ、まだまだ年長になったばかりの子どもたちです。気づくと自分には関係ないだろうと・・・ひとり抜け、ふたり抜けていきました。最後に残ったのはチーム作りのリードをしたかったふたりと、そのふたりが気になり寄り添っていた子どもが話し合い、チームを決めて再びサッカーが始まりました。話し合いに参加し抜けていった子どもたちは、どんな思いでその話し合いをみていたのでしょう。きっと一生懸命話し合う仲間へエールを送りながら、サッカーの練習をしていたのだろうと思います。ですからすぐに二つのチームに分かれ試合が始まったのでしょう。

「あの子たちおもしろいですよね!いろいろあって・・・」と登園してきた保護者の方からの声。この「おもしろいですよね」の言葉の中には、サッカーのこと、遊びの中で話し合っている姿、意見のぶつかり合う様子、幼児特有のずるさ、そんな子どもたちの関係性を含めて、おもしろいと言ってくださったのだと思います。そのような目で子どもたちを見ていてくださっていることに嬉しく、保護者と教師の真ん中で子どもが育つ意味を改めて思いました。

子どもの仲間関係は良いときばかりでなく、悔しい思いしたり、悲しい思いになったりと葛藤を経験することも多くあります。年長になると友だちと遊ぶ中で思いのぶつかり合いや、トラブルがおきても保育者に頼るばかりでなく自分たちで解決しようとする姿が見られるようになっていきます。

どんなに周りの大人が「仲良くしなさい」「ほかの子と一緒に。みんなと合わせなさい」など仲良くするようにと言葉掛けをしたところで、子どもたちの協調性は育ちません。ですから、自分一人ではできないことも、仲間とならば一緒に楽しいことができることに気が付くような大人の関わり、ひと言が大切で必要なのです。そして気づいた子ども達は協力することや工夫することを学ぶのです。生活、遊びにもルールづくりが必要なことにも気が付きます。自分たちで決めたルールを守ること、一人ひとりの仲間の声に応じて話し合い、ルールを変更することも大事なことであることを知っていきます。この経験を積み重ね決めたことに対する責任も負いつつ遊びを深めます。そして問題解決のために考えを出し合ったりする体験が協調性を育てるのです。

「人の気持ちが分かるようになる」ためには、まずは自分の気持ちを表現することから始まります。それに対し泣いたり怒ったりと相手の反応(感情・表情)があって、その様子から人の気持ちを理解していきます。

トラブルがあるからいけないということではなく、むしろ子どもたちはトラブルの中から学んでいくことが多いのです。集団生活ではリードする子、その声を聞き協力する子、すぐ怒ってしまう子、気弱な子、ぱっと出る言葉の強い子など、いろいろ個性の子がいます。私たち大人も同じですね。性格や考え方など様々です。大人もいろいろあるのに、つい見たもの聞いたことだけで、物事の善悪を判断しまいがちです。子どもの姿から学び合いましょう。自分の思いや考えを伝える練習中の子ども達から・・・。このサッカーから見える子どもたちの人間関係は、子どもの世界そのものです。子どもの心の中にある様々な思いは、仲間に支えられることで育まれていくのです。仲間と一緒に遊ぶ楽しさを感じ集団で遊ぶ中で、協調性と主体性が育つよう大人は応援していきましょう!!