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2016年2月24日 アレセイア通信

キリスト教主義学校だからできること

1.今日的な教育課題

 ある研修会で、『大学新入生の‘高校時代の悩み’の第一位が「人間関係づくり」「友達づきあい」「身のまわりの人とのかかわり」である。また、「①自己中心的②感情のコントロールができない③忍耐力(我慢)がない」青少年が増えている。その原因は青少年期に自分と向き合い自己葛藤する経験に欠け、精神的な逞しさや自律性を培う期間や場面が不足しているからである。この問題解決に学校も取り組む必要がある。』との話を聞きました。

 従来、日本の高等・中等教育の課題とはもっぱら学力の向上を図り、進路実績をあげることでありました。しかし、高校進学者も全入に近くなり、大学教育も大衆化された現代、教育課題は基本的な生活習慣や人間関係づくりといったものにまで広がったのでした。

 

2.神と人、人と人

 この課題に対してキリスト教主義学校では独自の取り組みが行われています。

 

①  礼拝

「初めに神は天地を創造された」(創世記1:1)

「初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。」(ヨハネ1:1)

 創造主の神と被造物としての人。また、救い主キリストと救われた罪人。礼拝は神を人が拝する時であり、キリスト教主義学校の基盤です。その礼拝を通して神様とは、人間とはとの聖書の教えが日常の学校生活の中で養われ根付いていきます。

 

②  自分と向き合う

 アレセイア湘南では礼拝が毎朝守られ、神の前に生徒も教師も静まる時を持っています。それはまさに青少年に欠けているといわれる、自分と向き合い、葛藤する空間・時間が保証されていることであります。

 端的に言いますと、神の存在を意識しない人の世では優劣、強弱等々、勝ち組負け組、的な相対的比較が幅をきかせ、生徒の価値観や人間関係もその影響を受けています。しかし、毎日の礼拝を通して培った主なる神のもとにおける人と人との関係は平等で自由であり、かつ謙虚で優しいものを育んでいきます。

 

③  修養会

 学校教育においては、各種の校外行事があり、それぞれに目的を持ち、教育的な意味もあります。特に、修養会は日常生活を離れ、豊かな自然環境の下での共同生活を通して聖書を学ぶというキリスト教主義学校独自の行事であります。

 アレセイア湘南中学高等学校では、中学1・2と高1・高3で行われており、中学校の主題は「出会い」、高校では高1の「共生」に始まり、高3の卒業前主題「自立(自律)」に至ります。この間には、中1から高3まで週1単位の「聖書」の授業があり、その外に、国内外で豊かな出会いのある体験学習や交流もあります。そうして積み上げた「神と人について」学んだことは高3の修養会で、本来は隠したいと思う自分の弱さなどを友の前でつつまず述べるという場面につながっています。生徒発題というこのプログラムは、アレセイア生にとって「神」の前で語るという大きな安心感のもとに行われるものといえます。

 

④  アレセイア湘南の教育

 本校では現在、グローバル化する世界に「平和を作り出す真の人」を育てようと、「小さな平和」から「大きな平和を」をコンセプトにグローバル教育プランを作成しています。

 本校創立以来大切にしてきた礼拝・聖書授業・修養会は、まさに小さな平和から大きな平和につながる積み上げであります。これは、「世界連邦」「世界共通語の普及」を唱え、実現を目指した創立者賀川豊彦先生の精神を継承するものでもあります。

 今後は「学力」の向上への期待も更に高まるものと思います。しかし、狭い意味での「学力」だけに偏ることなく、必ずそれを裏打ちする「人間としての成長」を大切にしてまいります。

 

 以上、冒頭に掲げた「人間関係づくり」という課題についてアレセイア湘南は既にはっきりと一つの方向を打ち出しています。それは「神と人」との関係を基礎として「人と人の関わり」を大切にしているということです。

 主なる神に感謝するとともに、キリスト教主義学校だからこそできる教育を深めてまいります。

学校長 飯塚正秀

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