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根っこの成長

2023年2月 4日

根っこの成長 2023年2月

平和学園幼稚園が幼保連携型の認定こども園になって4年目を迎えようとしている今、子どもが育つ、自立(律)しながら成長する本当の姿を目の当たりにしています。子どもの育つ流れの中には、小さくても子ども同士の信頼関係が生まれていきます。一緒に生きる仲間とどのように過ごしていくかという経験を重ねて社会性の土台が育っていくのです。

 

乳幼児の育ちで一番重要なことは、子ども自身が目に見えない温かい空気に包まれているという感覚を十分に味わうことではないでしょうか。そのような大人がつくりだす空気の中で育つ子どもは、自分を囲む大人から愛されて、「自分は自分のままで大きくなろう」という思い(愛されているという自覚)が心に根を張ることで信頼関係が生まれてきます。無条件に愛してくださる神さま、神さまから与えられた大切な小さな命を私たち大人が大切にする。これはキリスト教保育の根底に流れるものです。

 

今の社会の子育て事情を見てみると・・・様々な分野の早期教育に力を入れる、子どもにたくさんの経験を幅広く準備する。そして、子どもが沢山遊ぶ中で人格形成がされていってほしいと願うなど様々です。大人の生活の仕方、考え方でも子育ては、大きく変わります。子どもが大人の手を離れて新しい世界、集団生活に入っていく中で、道徳的なこと、マナー、能力を高めるための勉強は、何歳ごろから学ぶと良いのでしょうか。子どもの心の土台と人格の形成についてはどのように考えていきましょうか。

 

平和学園幼稚園では、子どもに一番初めに学んで欲しいことは、「自分は尊い存在だと知ること」です。つまり、心の土台と人格の形成をキリスト教保育に基づき「関わり」だと考えています。それは、共に生きる仲間と、様々な幼児教育プログラム(遊び)・生活プログラム(キリスト教保育・マナー)の中で、たくさんの楽しい経験を重ねること、反対に意見が合わなくて喧嘩になり、気持ちのすれ違いを経験することを通して「楽しい」「うれしい」「悲しい」「寂しい」という感情を覚え、仲間の大切さを知っていきます。この感情の経験を積み重ねて行くと、心が豊かに育ち、自分らしく生きようというおもいを抱きます。そして「みんなちがってみんないい」という、違いを認めて生きていく大切さが理解できるように育つと考えています。

 

では実際に、平和学園幼稚園ではどのような教育が行われているのでしょうか。

絵画、粘土、工作、運動遊び(ボール、ブランコ、縄跳びなど)、伝承遊び、土いじり(植物・野菜を育てる)・砂遊び(水)・課題(行事をつくる)などなど。これだけではなく、自分たちで遊びを作り出し、子どもによってはとことん極める様子も見られます。ここで大切なのは、すべてが子どもの生活であり、遊びを通して、感性、感情を育てられていくということです。そのためには、一人で遊ぶ時間の大切さ、仲間と共に過ごす大切さを大人が理解をして、子どもの社会生活に入り込まないことが大切です。子育て中は社会の出来事に対して、不安や心配を抱きがちです。平和な社会ではないから安心して子育てができないという声を聴きます。大きな事故に繋がらないように、日ごろから交通ルールなど散歩をしながら伝える、地域社会の中でどのようなことが危険につながるのかを分かるように共有するなど、必要なことは大人が子どもたちに見せる社会なのです。ですから、現社会でよく耳にするいじめの問題は、大人社会がつくりだしていることもあるという事を考えてみてほしいと思います。子どもにとって大人は家族だけではありません。テレビの中にも、学校にも、家族の友だちにも子どもが見る大人社会はあるのです。

 少し、自分の周りの大人の関係性を考えてみましょう。大人になると、自分の思いが強く、人の意見や考え方が素直に受け止められずに、心を閉じてしまう、喧嘩をしてしまう、口を利かない、会わないようにするなどの経験をする人がいると聞きます。悲しいことに子どもたちはそのような大人の姿を見ているのです。そして、心の中で、「おとなはいつもそうだ」と傷ついているのです。さて今日から、自分自身の心の内側をのぞいて、子どもの先を歩く大人として、失敗しても、やるべきことを間違えても、自分らしく生きてみませんか。