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2018年7月20日 アレセイア通信

アレセイア通信2018年夏休み号

賀川豊彦先生の思想から学ぶ
 
 先日、久しぶりにお会いした先輩に「あなたが学校経営に携わっている平和学園は、あの賀川先生が創立されたものなのですね。驚きました。」と言われ、複雑な思いになりました。賀川先生は、ノーベル平和賞や文学賞の候補に何度もなられたのに、日本の歴史から忘れ去られたと言っても過言でないほど、現在では知名度が低くなっています。
 
 幸いにして、私達は賀川先生たちの熱い思いで創立された学園で学ぶ機会を得ているので、キャンパスの様々な場所で見聞することがあります。賀川先生はキリスト者としてだけでなく、社会活動家、特に、協同組合を組織して貧困に立ち向かわれてきたことは、何度も巻頭言でとりあげてきました。賀川先生が生きてこられた時代と現代は、違う部分もありますが、共通するものも少なくないようです。
 
 そこで、平和学園で学ぶ人間は、創立者の「志」を現代に置き換えながら、私たち自身が暮らす社会を主体的により良くしていくことが求められているのではないでしょうか。その意味で、先生が最も力を入れて活動していた協同組合(先生の言葉を借りるならば「助け合いの組織」)の中心思想から学ぶと良いのではないでしょうか。先生はその精神を次の7つの言葉で表現されています。
 
① 利益共楽(利益の分かち合い)
② 人格経済(人間尊重の経済社会)
③ 資本協同(資本をみんなで出し合う)
④ 非搾取 (共存共栄の社会づくり)
⑤ 権力分散(全ての人に人としての権力の保障)
⑥ 超政党 (特定政党に偏らない生活者視点からの主張)
⑦ 教育中心(豊かな生活のための教育の必要性)
 
 少し難しい言葉もありますが( )内の解釈を参考にして考えてみてください。時代背景は違いますが、現代の社会問題解決にも十分対応できるのではないでしょうか。私達はこの創立者の「志」のバトンを引き継ぎ、次世代にそれを繋いでいく責任があるのではないでしょうか。現代社会は変化が大きく、その変化のスピードも以前とは比較できません。それぞれの国や地域は個別の課題も抱えていますが、環境問題など地球全体で解決していかなければならないものも年々増えています。その際、この7つの視点が重要になってくるのではないでしょうか。そして、その課題解決のために私たちは真剣に学んでいかなければならないのでないでしょうか。
 
学校長 武部 公也
 

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