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2017年7月 3日 アレセイア通信

アレセイア通信 2017年7月号

「平和の意味とは?」― 本校の目指すもの、守るもの ー
 
 前回は初代校長の村島先生の文を引用して皆様と共に考える機会としました。今回は賀川先生が私たち学園を創立された意味から考えてみたいと思います。まずは先生の文をお読みください。昭和44年に発行された「平和のこころ」から引用してみました。
 
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 ― 平和教育の提唱 ―
 
 一般の学校では、人を愛することをほとんど教えません。自分を愛することも、また人を愛することも教えません。日本人が軍国主義者の扇動に乗り、無謀な戦争に突入し、多くの人命を犠牲にした末、遂に敗戦の憂目を見たのも、ひっきょう国民が幼少の頃から自他の生命を尊重せねばならぬことや、人を愛することも教えられず、唯誤った敵愾心や復讐心や、国際間の憎悪をたたきこまれて来た結果と見なければなりません。世界平和を実現しようと思えば、まずこの国民の教育の根本から改めていかなければならないのです。では、日本の教育はどの方向に進むべきか。わたしは、人間愛の教育すなわち平和教育のほかにないと思うのです。
 
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 賀川先生は、終戦直後、現在の地に平和学園を創立されました。多くの著作の中で、社会問題だけでなく、文化・宗教・教育について自分の考えを著されました。今回の文もその一つです。決して長い文ではありませんが、平和学園で学ぶ私たちに明確にその志を伝えておられます。現在、朝鮮半島をめぐる情勢は不透明なだけでなく、刻々と変化し、危険な状況が続いています。様々な報道がなされ、何を信じてよいのか分からない部分が多く、ましてどんな行動をとればよいか…。賀川・村島先生の遺志を私たちはどう受け継げばよいのでしょう。校長としても悩むところですが、今、生徒の君たちに言えることは、「出番が近い」ということと、「平和を生み出すために真剣に学ぶ」ことの大切さは教えたいと思っています。国同士の争いを解決するためには、国民一人ひとりの自立と様々な「境」(ボーダー)を越えた理解と協力が不可欠ではないでしょうか。
 
 その意味でも、柔軟な心と頭をもった青少年期に多様な多文化理解のプログラムが必要なのです。幸い私たちの学校は海外にも関係の深い高校や大学があるので、その学校との交流を通してお互いの文化を学んでみてはどうでしょう。毎年7月には台湾の淡江高級中学の生徒が来校すると共に、本校の生徒が英国の大学やオーストラリアの学校で学ぶ機会を持ちます。その交流で得たものを多くの生徒が共有できると嬉しいです。きっと遠くから創立者の二人が私たちの生き方を見守ってくださっているのではないでしょうか。ぜひ、生徒諸君は不透明な現代社会を真正面からきちんと見つめてください。そして、今、自分たちが平和を作り出すために何ができるかを考えて、できることから始めてみましょう。本校のグローバル教育のコンセプトは、「小さな平和から大きな平和を」です。身近な日常生活の平和を大切にしながら、将来、出会うであろう文化、宗教、慣習、言語の違う人たちと協力し合って世界平和を作り出すためのチームの一員になるために、主体的な体験を通してコミュニケーションを深めるためのスキルを磨いてください。その際のKey Wordsは「思考力」「言語力」「たくましさ」です。本校を巣立った卒業生が、地球市民として世界各地で活躍することを期待しています。
 
学校長 武部 公也
 

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