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2015年9月 4日 アレセイア通信

アレセイア通信 9月号

       防災の日に寄せて・・・語りつづけることの大切さ・・・

  「ユダヤ人とは人種ではなくユダヤ教を信じる母親に育てられた者である。」といいます。ユダヤ人は旧約聖書とタルムードを聖典とするユダヤ教を規範として 生きる人々であり、AD132年に故国を失いながら、1800年もの流浪の時代を生き抜いたのはこの宗教性によるともいわれます。又、この言葉は諺の「三 つ子の魂、百まで」と同様、子供に影響を与えるのは何よりも幼児期の母親の懐であることを示しているように思います。
  終戦の翌年に生まれた私は、幼児期、母からアメリカ空軍のB29による空襲の話を聞きました。空襲警報のサイレンは母にとって忘れられない日常だった のでしょう。また、1923(大正12)年の関東大震災は小学2年生で遭遇した母の脳裏に強く焼きつき、地震が起こるたびに当時の情景を思い出して語りま す。99歳の今でもまるで昨日の出来事のように。
 地割れに母親(私の祖母)が挟まれた事。倒壊した家屋の梁に挟まれた近所のお婆さんの助けを求める声が徐々に弱まり、ついに聞こえなくなった事。震災 後、茫然自失してさ迷い歩いていた和服の奥様の様子。震災時に父親達が自警団を組織した事。横浜港に半分沈みかけた貨物船から持ち帰った外米(インディカ 米)と大豆の混ざり物を母と妹の三人で米と豆に分け、食料にしたがお腹をこわした事。鹿児島県人だった父親のもとに島津の殿様(昔の主君)から義援金が届 いた事。外国ではアメリカが一番早く支援物資を届けてくれた事。そして、藤沢から味噌樽を背負った祖父(母方)がレールの曲がった東海道線の線路上を徒歩 で保土ヶ谷まで尋ねて来て、涙の再会をした事、等々。地震が起こる度に長年にわたって聞いていると(震度2~3以上の有感地震×1年の発生回数×物心つい てからの私の年齢=数百回)、まるで自分が体験した事のように思えてくるから不思議です。「語り部」の影響力の大きさを実感します。
 時は過ぎ行きますが、4年前に起きた東日本大震災、そして、福島第一原発の放射能問題、私たちは忘れてはならないことです。
第二次大戦終了後、本校は平和学園と称して創立されました。「平和」という名前に創立者の願い、祈り、そして壮大な気宇が溢れているように思います。「先 人の跡を求めず、その求めし所を求めよ」と言われます。建学の精神・教育理念に立ち返り、今の時代にどのような発信をしていくべきかが問われています。そ うした意味でも、現在学園ですすめている「平和学園のグローバル教育」の視点で、学校の諸行事諸活動の“ねらい”を現職員と生徒で見直し、共有して継承す ることが大切であります。何度でも問い続け、語り続け、その基礎になっている「聖書のメッセージ」と「礼拝」を大切にして「真理(アレセイア)による自 由」の「語り部」を続けていきたいと思います。
                                       校長 飯塚正秀

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