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2017年5月 1日 アレセイア通信

アレセイア通信 2017年5月号

 
「世の中の雑巾になれ」とは?
 
 2017年度が始まり、1か月が過ぎようとしています。きっと慌ただしく生活していた人が多いのではないでしょうか。中学1年、高校1年の皆さんはわからないことが多いだけに疲れもたまってきているのではないでしょうか。4月29日(土)から5月7日(日)までのゴールデンウイークで、心身を少し労い休ませてあげてください。
 
 昨年度のアレセイア通信の2月号で、村島先生が話されたことを取り上げました。要約するとこんな話です。ある年の卒業式の前に、村島先生が賀川先生に、手足に不自由がある生徒が足を引き摺りながらも通いとおした報告をしたところ、賀川先生がその卒業式の式辞の中で、「からだは不自由でもできる仕事はある。神と人とに仕えて雑巾(ぞうきん)になれ!」と力を込めて話をされたそうです。賀川先生自身が神戸の貧民窟(貧しい人々の住む地域)で生活しながら、苦しむ住民の悩みに寄り添いながら布教活動に取り組まれ、様々な課題に挑戦され、世の中の雑巾となられていました。
 
 さて、71年前に本学園を創立された賀川先生は、私たちに「今」何を求められているのでしょうか。今回はこの「雑巾」について考えてみましょう。私たちの多くが今までこんな経験をしてきたのではないでしょうか。理想を描いても、それは所詮はかない夢のようで、全ては「幻」(まぼろし)、さんざん迷っても行きつくところは同じ、そして、孤独を感じる。おそらく、青春のほろ苦い1ページとして多くの若者が経験すると思います。私もその一人だったと思います。
 
「自分は何のために生きているのか?」
「何をやればよいのだろう?私は」
 
 きっと必ず一度は若者が向き合う課題ではないでしょうか。そこで、創立者である賀川先生の「世の中の雑巾になれ」の言葉と初代校長であった村島先生の「他人の不幸を笑わない」を合わせて考えてみると、この課題の解決策が見えてくるのではないでしょうか。お二人の「世の中で欠けているところと、世の中があなたを必要としていることを真剣に探し、それに正面から応えてみなさい。」と言う声が聞こえてきませんか。これがまさに文字通りの「黄金律」(Goldenrule)です。一人ひとりの人生の目的、それは各自の「生きがい」でもありますが、それこそ二人の創立者が私たちに託した「贈物」でしょう。そして、そこに自分たちの人生の目的という「扉」を開く「鍵」があるのではないでしょうか。
 
 今、世界の情勢は非常に厳しく、先行きの不透明感が全世界を覆っています。数年前、地球上の様々な「壁」が低くなり、一気にグローバル化が進むと思われたことがまるで嘘のようです。第二次世界大戦が終了して70数年、最大のピンチが近づいてきているのではないでしょうか。だからこそ、私たち平和学園で学ぶ者の出番が近づいているのです。全世界の平和を築くために、今こそ学ぶ時ではないでしょうか。その姿をきっと二人の創立者は遠くの空からご覧になっていると思います。
 
学校長 武部 公也
 

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