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学園概要

理事長挨拶

平和学園理事長

「あなたはなぜその山に登るのですか?」

私たちの人生はしばしば「山登り」に例えられます。世界中には無数の山がありますが、一つとして同じ山はありません。イギリスの伝説的登山家ジョージ・マロリーは、「あなたはなぜエベレストに登りたかったのか?」と問われて、「そこにエベレストがあるから」と答えたと言われています。世界最高峰の「エベレストがあるから」という短い答えには、純粋にその山への関心と挑戦心、探求心が強く表わされているように思えます。

「学び」もまた山登りに例えられます。「あなたはどの山をめざしますか?」「あなたはなぜその山に登るのですか?」という質問を自分自身に投げかけてみてください。どの山を目指すにしても、好奇心(curiosity)、興味、関心、チャレンジする情熱や喜びが欠かせません。

英語の「学び(study)」や「生徒(student)」の語源は、ラテン語の「情熱・熱意(studium)」に由来しており、「生徒(student)」とは「探求に情熱を傾けている人」という意味だと言われています。好奇心(curiosity)、興味、関心、探求心、チャレンジする情熱や喜びが「学びの山登り」や「学校生活」の基盤になっており、最も重要な要素であるゆえんです。

人類学では私達現生人類はホモ・サピエンス・サピエンスと呼ばれ、創意工夫に長けて適応性が高く、脳の前頭葉が非常に発達しているのが特徴です。人類が発達した前頭葉を持っている限り、何をするにつけても意欲する喜びや創造する喜びは不可欠な要素です。

人間はまたギリシャ語で「アントローポス」と呼ばれ、「上を見上げるもの、上を仰ぐもの」と言われています。人間は「天を仰ぐ」、「祈る」存在であり、それが人間の本来の姿なのです。人間は未来に対して夢を描き、希望と喜びを持って上を向いて歩いて行く存在です。

私たちはここ平和学園において、皆さんが自分が登る「学びの山」を発見し、希望と喜びを持って探求してゆくための道案内や支援ができることを心から願っています。私たちが「学ぶ」のは、有名な大学に進学して安定した人生を送るなど、自分に必要なものを得るためだけではなく、学びや探求をすることによって、自分自身が広く社会に貢献する準備をするためなのです。皆さんがここ平和学園において、本当の「学びの山」を登る理由とは、自己と他者の喜びのためであり、人々を祝福するためなのだ、ということを見出してくれることを切に希望しています。

学校法人 平和学園 理事長
関東学院大学名誉教授
教育学博士 所澤 保孝