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2019年12月 2日

アレセイア通信2019年12月号

「もう一人の博士」

 イエスは、ヘロデ王の時代にベツレヘムでお生まれになった。そのとき、占星術の学者たちが東の方からエルサレムに来て、言った。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです。」(マタイによる福音書2章1~2節)

 聖書に、三人の博士が生まれたばかりのイエス様を礼拝しに、星をたよりにベツレヘムにやってきたというお話があります。贈り物の名前が三つ書いてあるので、博士は三人と思われていますが、実はもう一人の博士がいたのです。その名はアルタバン。ペルシャの国の博士で、ユダヤ教の聖書の預言にも詳しく、イエス様誕生の時期を計算して突き止め、仲間の三人の博士と共にイエス様を礼拝するために旅立ちます。

 ところが、アルタバンは三人との待ち合わせ場所に向かう途中、死にかけているユダヤ人に出会い、助けてから旅を続行。先発した三人に追いつくために、三つ持っていた捧げものの宝石の一つを使ってラクダを買いました。旅路は守られ、仲間より三日遅れでベツレヘムに到着。ヘロデ王によってベツレヘムの赤ん坊が皆殺しにされる事件が起きていた時でした。一人のお母さんが駆け込んで来ました。抱いていたのは男の赤ん坊。アルタバンは追ってきた兵士から赤ん坊を助けるために、二つ目の宝石を使ってしまいました。しかも、イエス様は両親と既にエジプトに逃れた後で、会えませんでした。

 その後もアルタバンはイエス様にお会いしようと「貧しい者、身分の低い者、悲しんでいる者、虐げられている者」の中を探しましたが、会えず、代わりに、行く先々で人々を助けて回りました。こうして33年が経ち、アルタバンは再びエルサレムに来ました。イエス様が十字架につけられるところでした。アルタバンは目の前で一人の女性が奴隷として売られようとしていたのを助けるため、残っていた最後の宝石を使ってしまいました。これで、イエス様にお会いする最後のチャンスを失ってしまいました。

 イエス様が十字架上で亡くなられた時、大きな地震が起きて、アルタバンも命を落とします。死ぬ間際にイエス様の声を聞いたアルタバンは、言いました。「わが主よ、いつ、私はあなたが空腹であるのを見て食物をめぐみ、渇いているのを見て飲ませましたか。33年間、主をさがし求めていましたが、お顔を見たことも、お役に立ったことも、ただの一度だってないのです。」 これに対して美しい声の答えがありました。「あなたによく言っておく。わたしの兄弟であるこれらのもっとも小さいもののひとりにしたのは、すなわち、わたしにしたのである。」

 救い主であるイエス様にお会いして心からの捧げものをしたいと願っていたのに、苦しんでいる人、困っている人を助けるために時間を使い、捧げものを手放していったアルタバン。しかし、彼は、その愛の心と行いによって、真にイエス様に出会い、三つの宝石のどれよりも素晴らしい捧げものをしたのでした。

学校長 山田 信幸