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2018年10月 2日

アレセイア通信2018年10月号

記念講演から学んだ賀川先生の志とは?
 
 学園が創立されてから73年、この通信で私たち学園の創立者である賀川先生を取り上げてきました。今年の6月16日(土)に本校の講堂とアリーナを会場として、第63回キリスト教学校教育同盟の東日本小学校教職員協議会が開催され、東日本各地から300数十名の先生方が来校されました。私も参加した先生方と一緒に記念講演「平和学園の教育・賀川豊彦」を聞かせていただくことができました。講師は東京の世田谷区にある「賀川豊彦記念松沢資料館」の金井新二館長でした。今までも資料館の通信や文献で金井館長の著作を拝見することはあったのですが、今回は直接、しかも賀川先生の記念講堂で講演を拝聴することができて幸せでした。今号では、その一部を紹介したいと思います。
 
 講演の主な内容は、賀川先生の世界的評価、その生涯、信仰思想と社会的実践などについてでした。これまでの巻頭言ですでに取り上げたものが多かったので重複は避けます。今まであまり触れてこなかったのが「賀川先生の信仰思想」でした。特に、先生の「贖罪愛」についてはキリスト者、特に、教会的キリスト教を尊重する人々には余り受け入れてもらえなかったので、敢えて触れてきませんでした。賀川先生はキリスト教の伝道者でスラム街の中で生活しながら、「救貧」活動を「防貧」活動に広げていきました。ある意味、常に民衆と共に歩み、社会改革を求める「社会的キリスト教」のリーダーでした。そのため、一部の教会関係者からは、良きサマリア人(他の宗教とまじりあった信仰を有し、ユダヤ人から嫌われていた人々)を求める大衆伝道者としてあまり高く評価されませんでした。日本各地で伝道集会を重ね、26万人もの決心者(賀川先生の思想に共鳴した人々)を得ながらも、そのほとんどの人が教会には繋がらなかったことが、日本のキリスト教の悲劇(信仰の広がりの鈍化)の一つとして挙げられています。本来は、「どちらが正しいか?」という二者択一で求められるようなものでないはずのものでしたが、他の宗教に寛大な心を持ち「他の宗教にさえキリスト教を接ぐ」という賀川先生の思想を受け入れることに抵抗感を持つ人々もいたようです。ある意味で、賀川先生も欧米流のパフォーマンスを基調とした、労働組合運動、協同組合運動などを展開した社会活動家としての行動に対しては評価が二分されていたようです。しかし、現在では先生が戦前から運動されてきた様々な社会実践は、現代ほとんどのものが結実しているだけでなく、今後の世界の方向すら示していると評価されています。特に、「協同組合運動に加入する比率が高くなれば高くなるほど、世界平和が近づく。」という考え方は的を射たものと言えます。まだ協同組合に参加する人間は10億人です。40億人が協同組合に参加するようになれば世界平和が実現するという講師の予想を信じたいと思います。一部の人間だけに富を偏らせないために、なるべく平等に出資し、利益も平等に配分することができたら、戦争や紛争もなくなるのではないでしょうか。
 
 今まで、様々な文献や資料で賀川先生の実践を学んできましたが、今回賀川先生の歩みを研究されている金井先生から直接講演を聞くことができたのは幸いでした。今まで以上に賀川先生の存在を身近に感じることができました。感謝します。
 
学校長 武部 公也