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2018年9月 4日

アレセイア通信2018年9月号

賀川先生の最大の活動は?
 
 ここ3年間に亘り、このアレセイア通信の巻頭言で、私たちの学園創立者である賀川先生を取り上げてきました。社会活動家であり、小説家でもあった賀川先生。現在の日本における様々な協同組合の礎を築かれた人としても有名です。さらには労働運動や農民運動においての先駆けでもあり、前号でも述べたとおり「世界の三大偉人」に数えられるほど語りつくせない偉業を成し遂げました。先生の生涯を深く学びたい人は、ぜひ、東京の世田谷区にある「賀川豊彦記念松沢資料館」(日・月曜日休館)を訪ね学んでください。
 
 「私たちの学園を創立した賀川豊彦とは何者か」と問われたら、一言で表すならば「伝道者」と言えるのではないでしょうか。もう少し丁寧に表現するならば、キリスト教の布教を熱心に行う「伝道者」という表現が一番正しいのではないでしょうか。賀川先生の業績を研究されている人たちは、その活動は広範囲にわたっているが、各種の事業や活動も伝道活動の一環として位置づけています。日本だけでなく、世界中にキリスト教の教えを広め、家族のような人間関係を作ることが平和な世界を築くことになると考えておられたようです。そして、その伝道活動においては、常に「弱き者のために何ができるか」を考え、その精神を実行し続けられました。
 
 キリスト者として生涯を全うされた賀川先生の信仰の出発点は、家を離れて徳島中学校に進学した際に、片山塾という私的な寄宿舎で生活したことでした。そして、英語習得を目的に教会の礼拝に出席するようになったことが切っ掛けでした。当初は、クリスチャンになるとは思っていなかったそうです。その気持ちを変えたのが、アメリカから来た宣教師のチャールス・A・ローガン博士とハリー・W・マヤス博士の義兄弟でした。お二人は私生活でも深く関わり、「キリスト教とは何か」「愛とは何か」を教えてくれた存在でした。マヤス博士は1904年(明治37年)に、徳島日本基督教会で、16歳になった賀川先生に洗礼を授けただけでなく、明治学院大学への進学の援助もしてくれました。また、ローガン博士が講義する「キリスト伝」に深く感銘を受け、英語の平常授業より多くの時間をその講義の勉強に充てていました。後に、当時のことをインタビュ―され、「ローガン博士の講義を聴いた時、私は生涯で初めて生きているという感覚、人間であることに目覚めた」と語っています。二人の宣教師との出会いが、幼い頃に両親を亡くした賀川先生にとって家族のような存在であり、その後の人生の羅針盤になったようです。その人生は「伝道者は伝道途上で倒れることは本望だ」の言葉通りでした。
 
学校長 武部 公也