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2018年6月 4日

アレセイア通信2018年6月号

三聖人?賀川先生が?
 
 
 先日、ある生徒に質問されました。「なぜ校長先生はアレセイア通信で賀川先生のことばかり採り上げるのですか?」たしかに、私は通信の巻頭言で賀川先生の言動や思想について連続して触れています。正直なところ、タイムリーな話題ではないし、そんなに面白い内容でもないかも知れません。しかし、私は敢えて賀川先生についての記述を重ねています。学園が創立され70年を超え、創立当時の熱い思いがいかに引き継がれているのかを検証していきたいと考えているからです。創立者たちの思いや業績を明らかにして、生徒、保護者、教職員に理解してもらうことを願って書いています。
 
 「非暴力・不服従」を貫いた“インド独立の父”マハトマ・ガンジーやアフリカで住民たちの医療に生涯を捧げたアルベルト・シュバイツァーを知らない人はいないでしょう。この二人以外に、20世紀前半における“三聖人”が誰だかご存知ですか。実はその最後の一人が、私たちの平和学園を創立した賀川先生なのです。1939年(昭和14年)に、アメリカ合衆国で発行された「THREE TRUMPETS SOUND」(世界の三聖人)という本の中で紹介されました。残念ながら、賀川先生が世界的に有名な2人の偉人と並んで尊敬されていたことを知る日本人は、殆どいないのではないでしょうか。
 
 なぜそんなに尊敬されているかを紐解くと、1935年(昭和10年)12月、経済恐慌からの復興のためにニューディール政策を推進するリーダーであったフランクリン・ルーズベルト大統領に招かれての講演旅行に行き当ります。ニューヨーク州の神学校で4回行われた記念講演の内容は「BROTHERHOOD ECONOMICS」(友愛の政治学)として刊行され、25か国、17言語に翻訳され、世界の多くの人々に共感をもって受け入れられました。そして、賀川先生の講演がアメリカ国内の「協同組合」の普及に大きな影響を与えました。資本主義でも共産主義でもない“第三の道”として唱えたこの「友愛の経済」という考え方は、現在のEUの前身であるEC(ヨーロッパ共同体)創設の原動力になると共に、その後の世界の様々な社会活動や思想の「原点」になったようです。そのため、国内よりも欧米で先生は高く評価され、ノーベル平和賞に3度、ノーベル文学賞に2度ノミネートされました。そして、その先生の思いを実現するために、私財をなげうって創立した学校が、今私たちが学んでいる平和学園なのです。ゆえに、私たちは誇りをもって、それぞれの世界でその思いを実現する責務があるのではないでしょうか。私はその学校を預かる学校長として、賀川先生や初代校長であった村島先生のことを機会あるごとに紹介していきたいと考えています。
 
学校長 武部 公也