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2018年2月 1日

アレセイア通信2018年2月号

賀川先生の平和思想
~世界国家と協同組合運動~
 
 本学園の創立者である賀川豊彦先生は、世界平和の実現を目指して、様々な社会活動に取り組まれていたことは前号までにお話しさせていただきました。また、各種の産業組合や生活協同組合の発足に貢献されたこともご紹介しました。現在、私たちと東海大学は様々な連携をとっています。高校2年生は東海大学の湘南キャンパスで1日研修を行っています。また、東海大学に留学している各国の大学生が、高校2年生の全クラスに4名ずつ訪問し交流を深めています。両校の建学の精神はほとんど同じと言ってもよいかも知れません。なぜなら、東海大学の創立者である松前重義先生は、無教会派のキリスト者の内村鑑三先生の薫陶を受け、神戸のスラム街で伝道していた賀川先生とも親交がありました。また、戦前からスウェーデンなど北欧諸国の社会保障制度についてもお二人は賛同され、国家経営のモデルとすることを強く訴えられていました。当時の日本で高福祉社会などほとんどの人が取り上げることすらなかった中で、二人の先見性は際立っていたようです。官僚の松前先生、社会活動家の賀川先生の共通点は、キリスト者と言うことだけでなく、世界平和を真剣に希求する点でも一致していました。そして、戦後、賀川先生は私たちの平和学園を、松前先生は東海大学を創立させました。世界平和を目指す人材を育成するために創立された二つの学校は創立の目的、時期がほとんど同じです。
 
 ここからは前号に引き続いて、もう少し協同組合運動について述べていきたいと思います。戦前、賀川先生は世界的視野に立って社会経済を考えると、どうしても営利にとらわれない協同組合とか、生命保険組合というような地区相互扶助組織が必要だと考えられていました。そして、世界の「経済」と「政治」は強制によっては好転しないとも考えられていました。むしろ自主的協力、友誼関係組織の方が望ましく、協同組合方式に力を注ぐべきだと主張されました。そして一番重要なこととして、自由な、かつ自主的協力は決して強要できないことを強調されました。この当時、スウェーデンなど北欧の6か国間では旅券が廃止されるだけでなく、石炭と鉄には関税をすでにかけていなかったのです。それに対して、他の諸国は政治的には未だまことに幼稚で、政治的、経済的保証を得るために軍隊や暴力しか考えていないと指摘されました。さらに論を進めて、国々の繁栄と安全保障は相互扶助と友情によって確立されると主張しました。この原則を無視した日本が1945年にその誤りを多くの犠牲を伴って知ることになったことを論じ、戦後、平和学園を創立させるとともに、戦前から自分の主張してきた協同組合運動の充実に奔走されました。その運動の未来に以前の号で触れた「世界連邦」構想があったようです。全世界の人々の理知と理解の力で世界を一つにまとめることができると信じて、真摯に運動に取り組まれたと言われています。そのバトンを私たちがきちんと受け取ることが、まさに今、問われているのではないでしょうか。
 
学校長  武部 公也