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2017年12月 4日

アレセイア通信2017年12月号

賀川先生の平和思想
~雲の柱(賀川豊彦記念松沢資料館発行)No.29から~
 
 本学園に定期的に送られてくる出版物の中で、私が必ず目を通すものの一つに、この「雲の柱」という小冊子があります。本学園の創立者である賀川豊彦先生の様々な活動や業績を記した資料が、東京都世田谷区上北沢の松沢資料館に納められています。国内だけでなく海外からも多くの見学者が来館され、交流を深める中で研究を進めています。その松沢資料館が定期的に発行している機関紙が「雲の柱」で、賀川先生を研究されている各界の方がペンをとられています。今回は、その29号で「賀川豊彦を忘却しない努力を」と題し寄稿されている加藤好一氏の文を参考にさせていただきました。その文中にある賀川先生の「告白」がとても気になったので、ここに掲載してみました。
 
 次が、1940年「愛の科学」中国語版の序文に著された賀川先生の「告白」です。
 
「私のすべての祈りにもかかわらず、日本の軍国主義が中国で行なった暴虐を思うと、耐え切れぬ恥ずかしさがこみあげてきます・・・。私が百万回許しを乞うても、日本の罪をあがなうには十分ではないでしょう。私は恥ずかしい。私は日本の軍国主義に影響を与えるには余りにも弱いからです。無力な私を中国の指導者たちが非難するのはもっともなことです。私は責められるに値するからです。」
 
 皆さんはこの告白をどう受け止めますか。この告白を賀川先生が世に出された1940年は昭和15年で、日独伊三国同盟の締結や大政翼賛会の成立、まさに日中戦争が泥沼化し、国内は軍国主義の色に染まり始めた時期です。その時期に、世界を歩き平和を訴えていた賀川先生の告白を目にすると、キリスト者、社会活動家としての信念を強く感じます。戦前、戦中、戦後、常に一貫して世界平和の実現を目指していた先生だからこその告白ではないでしょうか。昨今、世界各地で声高にヘイトスピーチを叫んだり、様々な新たな「壁」を設けようとする一部の人たちの主張との大きな隔たりを強く感じます。
 
 耐えることのない紛争や対立、○○ファーストと自分たちの利益だけを追い求める指導者の出現によりグローバル社会への移行ができない現在の世界に生きる私たちは、今こそ、この告白を真摯に受け止め、私たちができることに挑戦しなければならないのではないでしょうか。賀川先生はたくさんの著作を残されています。そこに、現代社会の課題を解決するためのヒントがあるのではないでしょうか。
 
 世界最年少でノーベル平和賞を受賞したマララさんが、今後オックスフォード大学で様々な分野の勉強をするニュースが発表されました。彼女も賀川先生と同じように、自分の命を懸けて世界平和の実現を目指しています。彼女の有名な「1本のペンが、……世界を変える。」言葉は、私たちに共に学び、共に立ち上がろうと言うメッセージではないでしょうか。神様に導かれ、賀川先生の創立された学園で学んでいる君たちへのメッセージが、この告白に秘められているのではないでしょうか。何のために学ぶのか、様々な目標はあると思いますが、目的は世界の人々が平和に暮らせることの実現ではないでしょうか。ぜひ、いまこそ、真剣に学んでほしいものです。
 
学校長 武部 公也