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2016年7月22日

アレセイア通信 2016年夏休み号

創立者 賀川豊彦先生の「四つの平和」から学ぶⅢ
 
 今年度は本学園が創立70周年を迎え、様々な記念行事が行われます。校名の「平和」が物語るように、平和学園は平和を念願し建てられた学園です。今回も前号に引き続いて、創立者である賀川豊彦先生の「四つの平和」について考えてみたいと思います。この「四つの平和」は賀川先生が昭和27年9月28日の中学高等学校校舎竣工式で挨拶されたものです。
 
 賀川先生の説かれた「四つの平和」
1 心の平和  2 家庭の平和  3 生活の平和  4 世界の平和
 
 今回は、三番目にあげられた「生活の平和」について一緒に考えてみましょう。
 
 賀川豊彦先生は、戦前から日本国内は元より世界各地を歩いて回られ、それぞれの国や地域を視察されました。そして、挨拶の中で「終戦直後の日本において、自殺者が1年間で二万六百二十二人もいて、同じくらいの人口の英国での自殺者はたった30人で、あまりにも日本人は生命を粗末にしすぎる。」と嘆かれています。
 
 次に、ソクラテスの「アテネは文化教育でありすぎる」と言う言葉を引用し、日本でも文化教育を偏重していると指摘されました。そして、「動物」と「人間」の違いを「手を働かす」視点から分析し、教育において手を働かせて脳髄を発達させる重要性を訴えられました。それ故に、幼稚園でも「作業教育」が必要だと主張され、平和学園の生徒たちが松の木を倒し自分達でローラーを引いて運動場を整備したことを高く評価されたのです。さらに、「勤労」の尊さを知り、勤労を厭わない習慣を身につけて欲しいと願われたのです。挨拶の後半では、「新しい日本の希望として、天を敬いつつ、地に足の着いた働きをし、日本の貧乏をなくすために努力してもらいたい。」と強いメッセージを生徒たちに送られました。
 
 それから70年、果たして今の日本の社会や教育現場は賀川先生にどう評価されるのでしょう。確かに、戦後と比べれば日本は豊かになり、物が溢れています。賀川先生が布教活動に入られた神戸の「貧民窟」は姿を消しました。しかし、本当に一人ひとりの人間の命や日々の平和な生活が大切にされているでしょうか。挨拶の最後に、平和学園で学ぶ生徒に「村島・賀川のあとつぎになって欲しい。」と結ばれました。お二人の精神が現在の学園の中で、どのように受け継がれているのでしょうか。学園内で、一番自主・自律しているのは幼稚園生かも知れません。同時に、手を働かせているのも彼らでしょう。キャンパスの中で、ゴミを誰が拾っているのでしょう。校内に生えている雑草はどうすればよいのでしょう。
 
 私たちの学園は、世界平和に貢献するための「人間力」を育てるために、様々な体験や行事に取り組んでいます。その際、自ら進んで手足を働かせ、そこから感じ取ったものを学びに活かすことが賀川先生の遺志であり、本校のグローバル教育の目的なのです。自分達の生活環境を自分達の手で改善することが当たり前の学校にしたいと思います。
 
学校長 武部公也