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2015年11月 2日

アレセイア通信 11月号

        50年前、現在、そして50年後

  富士山が世界遺産に登録されて2年が経ちました。また、毎年夏になると富士スバルラインではマイカー規制が行われます。そこで、以前富士山で考えた事を 中心に原稿をまとめてみました。晴れた週末に久しぶりに富士山北斜面(山梨県側)富士スバルラインの終点(五合目)まで行ってきました。北斜面の森林 (常緑針葉樹林)は私の卒業論文のフィールドでありとても思い出のある所です。当時、シラビソ、オオシラビソ(別名アオモリトドマツ)、コメツ ガの自然林が道路(スバルライン)の開発で傷つき、立ち枯れが続出する状況の中で自然保護の基礎資料となる植生調査を行ったのでした。

 赤茶けた富士山の火山礫(ゲンブ岩)が崩れ、立ち枯れた針葉樹の白い幹が墓標のようだった観光道路(スバルライン)の両側はカラマツ、ダケカンバ、そしてシラビソなど、本来の森を構成する樹木で見事に修景・修復されていました。

  1960年代の道路の修景は往々にして、崖に張った金網の上にコンクリートを吹き付けたり、育ちの早い外来種の樹木を植えたりといったものでした。しかし スバルラインの修復は、「森林の修復はその土地にあった本来のふるさとの森の樹木をもってしなければならない。まして、冬の気候が厳しい富士の亜高山帯 ではなおさらである。」との理論に立ってのものでした。確かに高山・亜高山の道路わきのセメント擁壁はじきに崩れ、外来種は根付かずに枯れ、またその修復 に多額の費用をかける繰り返しでした。当時としては画期的な修復理論が実証されていました。私の調査もなんらかの役に立っていたなら幸いだと感じて下山し ました。

 それにしても、かれこれ五十年近くの歳月がかかっています。その間に私たちの社会の状況も随分変わりました。現在の情報化・高齢化・少子化等々は当時の人々に予測し得たでしょうか。まして、二十歳を超えたばかりの私には想像もできませんでした。

 現代は道路、下水道、ガス・電気等はもとより、情報通信のインフラも整備され人々は生活の便利さや質を求めます。光は降り注ぎますが、同時に影も生じ、多くの問題も発生しています。

  私は毎年9月の初めに、高校3年生の修養会に参加します。アレセイア湘南での3年間の教育の成果(人間としての成長)が素直に表れる機会でありとても楽し みにしています。ある時、まとめの全体会報告の中で「現在の日本の豊かさが今後も維持できるのだろうか」と、将来への不安の発言が幾つかあり、気になりま した。温暖化を初め、政治・経済、何か変だなという不安感・閉塞感があります。マスコミもそうした話題を特集として組んでいます。

 さらに 五十年後の日本はどうなっているのでしょうか。想像することは困難です。将来への不安は率直に認めつつ、人間の叡智を集め・人事を尽くす大切さ、そして、 主の導きを信じ、ゆだねる平安について、生徒と共に学んでいきたいと思います。「教育は人間と人間の間で行われ、その間をつなぐのは信頼である」との原則 は五十年前も現在も更に五十年後も変わらないと思います。キリスト教を建学の精神とし聖書を基礎とする、アレセイア湘南中学高等学校での毎日の取り組みが 明日へとつながるものであると信じます。

                                     学校長 飯塚正秀